• 小説 星と陽の間で
  • 夫のシンガポール赴任に伴い来星することになった主人公・映子が、シンガポールと日本の価値観の間で揺れ動く。 そんな映子のこれから始まるシンガポール生活への不安や困惑、希望を描いたストーリー。

星と陽の間で 第3話


前回までのお話 第二話はこちら
全く想像もできないこれからの生活、映子の不安は膨らむばかり…
転勤への不安と慣れない育児に対する負担が映子の肩に重くのしかかる。
唯一シンガポールとつながりがあるのは昔からの友人・佳奈のみ。
いつも映子の味方でいてくれる佳奈と会うことで映子の気持ちは救われるのだろうか…




「いいじゃない、シンガポール!映子、駐妻じゃない!憧れるなー。子供はヘルパーさんに任せてマッサージにハイティーに。そんな生活私もしたいよ」

「待って、佳奈。言ってることの半分もわからない。ヘルパーさんって何?ハイティーって何?」

「あれ?映子知らない?シンガポールってお手伝いさん雇ってる人多いのよ。メイドさん。詳しいことは私もよく知らないんだけど、日本人でも雇ってる人けっこういるみたいだし。私の友達も雇ってるって言ってたよ。シンガポールは帯同した奥さんも働けるしね。映子、また働いてもいいんじゃない?」

「え?お手伝いさん?どういうこと?私、普通の専業主婦だよ?専業主婦なのに何を手伝ってもらうの?」

いつもの笑顔でサラっと言う佳奈の言葉が全く理解できない。

「興味があるならその友達紹介するよ?大学の時の友達で美子っていうの。ご主人がシンガポールで起業してもう4年ぐらいあっちに住んでるんじゃないかな?今度の出張の時にでも会えたらいいね、って言ってるから会えたら紹介しておくね。
あ、ゴメン。4時から次のミーティングだ。
ってかスゴイね、芽衣ちゃん。ずっと寝てたじゃん、親孝行だね。
せっかく外国に住むんだから日本じゃできないこといっぱい経験しておいでよ。芽衣ちゃんもトリリンガルも夢じゃないよ。出張から帰ったらまたランチでも行こう!じゃあ」

「あ。う、うん…。ありがとう。じゃあ、また」

挨拶もそこそこにカフェを去った佳奈の言葉が頭の中をグルグルめぐる。

ヘルパーさん、メイドさん、お手伝いさん、美子さん…

でも美子さんのご主人は社長さんだからお手伝いさんも雇えるんじゃないの?
私もそれなりに不自由なく生活させてもらってはいるけれど、それでも普通の会社員の家庭がお手伝いさんを雇うなんてとんでもなくない?

「あ、ハイティーって何か聞くの忘れちゃった…。あ、お手伝いさんのこと以外シンガポールのこと聞いてないや…」

お手伝いさんかぁ…
家に帰っていつものように芽衣の世話をし、家事をしていても佳奈の言葉が頭の中をグルグルめぐる。

ヘルパーさん、メイドさん、お手伝いさん、美子さん…

やっぱり美子さんは社長夫人だから…

でももし、万が一、私がお手伝いさんを雇ったらどんな生活が待っているんだろう…
そんなことを考えていたらウトウトしていたようだ。
お手伝いさんがプールサイドに寝そべっている私に綺麗な色のジュースを持ってきてくれる夢を見ていた。
そして彼女に何かを話しかけようとして目が覚めた。

え… 
お手伝いさんって何語話すの?

第四話はこちら

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