• 小説 星と陽の間で
  • 夫のシンガポール赴任に伴い来星することになった主人公・映子が、シンガポールと日本の価値観の間で揺れ動く。 そんな映子のこれから始まるシンガポール生活への不安や困惑、希望を描いたストーリー。

星と陽の間で 第4話


前回までのお話 第三話はこちら
久々に結婚前からの友人・佳奈と会い、シンガポールの情報を得たことで少しずつイメージが沸いてはきたが、佳奈から聞いたパワーワード〝ヘルパーさん” が頭から離れない。
まだまだわからない事だらけではあるが、時間はどんどん過ぎて行き、いよいよ具体的に引越しの準備を進める段階に来てしまった。




「映子、引っ越す前にシンガポールに下見に行って家決めなくちゃなんだけど」
玄関に向かいながら夫がこう言った。

「だよね。私も転勤の話を聞いてからシンガポールについてちょっと調べてみたんだ。
でも何を基準に選んだらいいのかさっぱりわからなくて。便利なところがいいのか、少しぐらい不便でも環境のいいところがいいのか。日本人が多いところはお付き合いが大変だって聞くし、でもママ友は欲しいし…。ねぇ、どう思う?」

「うーん、俺は日中家にいないから映子が住みたいな、って思うところでいいよ。ちなみにオフィスはタンジョンパガーだから。じゃあ行ってくる」

「あ…行ってらっしゃい」

また丸投げ。育児と一緒。
どこよ、パガーって。
何年ぐらいで帰って来れるんだろう。芽衣はシンガポールの幼稚園に行ったりするのかしら。

その前にそろそろ離乳食を始めようと思ってたんだけど、シンガポールで離乳食って作れるの?
シンガポール製のレトルトを使うことになるの?

考えれば考えるほどいろんな事が気になってくる。
最近芽衣が寝ている時間はほとんど駐妻ブログで情報収集。
みんなマッサージに行ったりランチに行ったり楽しそうな毎日を送っている。
私もこんな生活するようになるんだろうか…

ついでにお手伝いさんのことも調べてみた。
…え???お手伝いさんて基本住み込みなの?!
他人でしょ?外国人でしょ?どうやって一緒に住むの?

やっぱり私にはできそうもない。私というよりも他人と住むなんて夫の方が無理だろう。
しかも何か盗られたとか嘘つかれたとか、ネガティブな話ばっかりなんだけど。
そんな思いをしながらもお手伝いさんを雇うメリットって?
お手伝いさんについての謎は深まるばかり。

-やっぱり私にはお手伝いさんは無理だわ-

そんなことを考えているとピンポーンとインターホンが鳴った。

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