
星と陽の間で 第9話
前回までのお話
自分の時間を削ってでも家族のために働くことを良しとする日本人女性とヘルパーさんを雇って自分の時間を大切にするシンガポールに住む女性。
どちらがどうとは言えないけれど、この二者が出会うことで何かが起こる気がする。
ここから何かが始まるのだろうか…
-どんな子なんやろうなぁ-
佳奈から紹介された、まだ見ぬ彼女の友人”映子”に思いを馳せてみる。
聞いている限り一人でパパッと動くタイプではなさそうだ。
初めての海外生活、しかも第一子はまだ小さい。
不安以外に何があるのかを見つける方が難しいのではないか。
ここシンガポールにはたくさんの国からたくさんの人がやって来て、去っていく。
2年から3年と、短期間でシンガポールを去っていく駐在員家庭も多い。
-何年おるんやろうなぁ-
自分とはまた違った境遇の映子。
夫がシンガポールで起業している私には日本に帰国する予定がない。
期限付きの在星になる映子のことを少し羨ましく思ったりもするが、それも”ないものねだり”なのかもしれない。
シンガポールに来てからの4年の間に、何人の友人を見送ってきただろう。
他の国にスライドしていった友人、日本に帰国した友人。
産科で友達になったあの子は今どうしてるんやろう。
確か二人目の出産で、お母さんの助けも得られないからと慌ててヘルパーを雇っていたはず。
帰国しても両方の実家が遠いから、育児は助けてもらえないって言ってたな。
日本では保育園にもすぐに入れないって言ってたし、ヘルパーなしでどうやって子供を育てていくんやろう。
同じ日本人女性として「私はシンガポールにいるからラッキー」で済ませたらアカン気がする…
佳奈の言うようにやっぱり何かを始めるべきなんかな。
4年も住んでいるとシンガポールに愛着も湧いてくる。
完全な日本人やけど、若干シンガポーリアン寄りな私は、映子さんにシンガポールでの新しい生活を楽しいと思ってもらいたい。
二度と戻ってこないこの子育て期間を楽しいと思ってもらいたい。
まずはできることから。
-とりあえず、映子さんにメッセージでも送ってみるか-
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