
壁 - 教師の私 駐妻の私 – 【第7話】
ここ最近の体調不良の原因は第二子の妊娠だということが判明し、つわりのせいで娘・さくらの世話もままならない状態の主人公・奥野 貴美子が出した解決策はヘルパー雇用だった
「え?待って待って、どういうこと?なんで急にそうなるん?!私なんかアカンこと言うた?私とか映子ちゃんがヘルプに行くのそんなにイヤ?!」
「いえ、そういう事じゃないんです。ヘルパーを雇うことにすごく抵抗があったんですけど、この間夫にもヘルパーの雇用を打診されて。それでもやっぱり専業主婦が家事を外注することや、他人と一緒に住むことへの抵抗があってけっこう迷ったんですけど、なによりも今の体調を考えるとさくらに迷惑が掛かるな、と思って。
一緒に遊んであげられなかったり、ゴハンや掃除も手抜きになったりしていて。で、体調が良くない時にグズられると私もついイラっとしてしまって。最近そんな毎日が続いているんです。
体調が悪いんだから仕方ない、助けてもらえる人がいないんだから仕方ない、って自分に言い聞かせてきたんですけど『でも、こんな時にヘルパーがいてくれたら全て解決するんじゃないの?』って思い始めたら解決方法はそれしかないような気がして」
どうやらこの人は思い込んだら突き進むタイプのようだ。
「いきなり住み込みのヘルパーさんでいいの?通いのヘルパーさんとか、生まれてから産褥アマさんとかの方法もあるんよ?」
「いえ。今は迷ってる余裕ないんです。明日からでも来て欲しいくらいです」
何を言ってもヘルパー以外の方法は今の彼女の耳には入らないのかもしれないけれど、ヘルパーを雇うにしても色々な手順を踏む必要がある。彼女はヘルパー雇用についてどれくらい知っているのだろうか。
「そういうことね。今スゴイしんどいんやん。もっと早くに相談してくれたら良かったのに…。何のためにLINEの交換したんよ!ヘルパーさんを雇うのは解決方法のひとつの手段やと思う。ただ、やっぱり他人と、それも外国人と一緒に住むんやからそれなりの覚悟はしとかなアカンよ。仕事上の付き合いっていうわけにはいかんから。
サキちゃんも言ってたけど従業員以上、家族未満の関係を上手に築いていかなアカンの。雇い始めて慣れるまでの3ヶ月ぐらいは一番しんどいけど大丈夫?今の奥野さんは妊娠初期で精神状態も不安定やし、私はそこがちょっと心配やわ」
「従業員以上、家族未満か。そうですね、私が想像しているよりも実はけっこう大変なのかもしれないですね…」
「ビビらせるつもりはないんやけど、今は身体的にも精神的にも一番負担かけたらアカン時期やからさ。つい慎重になってしまって。ゴメン、せっかくその気になってるのに水差しちゃって。んで、その前に明日から、っていうのは無理やと思う。奥野さんEOPとかも受けてないやろ?オンラインで受講するならSingpassとかもいるし。Singpass持ってる?」
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