• さよならヘルパーさん
  • 出会いもあれば別れもある。 あなたはどんな時に解雇を考えますか? 契約満了・ヘルパーさんが突然帰りたいと言い出した・重要なハウスルールを破った… このコーナーではさまざまな別れのドラマをご紹介します。

さよならヘルパーさん CASE2【後半】

出会いもあれば別れもある。
あなたはどんな時に解雇を考えますか?
契約満了・ヘルパー(メイド)さんが突然帰りたいと言い出した・重要なハウスルールを破った…
このコーナーではさまざまな別れのドラマをご紹介します。

CASE2【後半】フィリピン人ヘルパー(メイド)さん 雇用期間:2週間

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プーケット旅行中にかかってきたエージェンシーからの電話。「あなたのヘルパーが辞めたいと手紙を持ってきたの」と添付された手紙の写真にはこう書いてあった。

こんにちはマム。私の状況をご理解くださることを願います。○月○日○時、私はショックでした。外食中に飲み物さえもらえなかった。ご存知の通り私はあなたの子どものお世話で忙しかった。○月○日○時、夕食はピザ1枚で水さえなかった。驚きました。○月○日○時、パスタを夕食に分けてもらったけど全部食べられなかった。なぜなら翌日のランチにとっておかないといけないから。フードアローワンスを減額され全額もらえなかった(※)こんなに頑張っているのに食べ物が足りなかったせいで私は力つきました。もう限界です。神のご加護を。

要約するとこんな感じ。言いたいことはただ一つ。「食べ物が足りないからこれ以上ここでの仕事は続けられない、トランスファーしたい」ということ。

ちょっと待って!
彼女が好きなものを買えるように食費も渡していたし、彼女が食べられそうなものを作った時はシェアもしていたし、お米とパンはフリーフローだったのに。

後からいろいろ調べてみるとこの手紙を書いた背景が浮かび上がってきた。まず大前提に食事が足りないということは”虐待”になる。”虐待”は証拠が残りにくいため、有効な証拠の一つに「詳細なメモ的日記」を記録しておくというのはもはや常識だ。これは後日エージェントに聞いた話だが、きっと彼女は友人か誰かに「辞めたいけど、どうやったら揉めずに辞められるかな?」と相談し、「雇用主はMOMやHOMEの介入やトラブルを避けるだろうから食事が足りなかったという証拠を残せばリリースしてもらえるよ」って助言した人がいるのだろう、と言っていた。そういうケースが後を絶たないような口ぶり。そのような証拠を携えてMOMや警察などが虐待として処理すれば雇用主は警察による取り調べの対象となり、最悪の場合、服役や罰金、今後ヘルパーを雇えなくなるなどのペナルティを受ける。彼女はそれを利用して脚色した”被害の数々”を手紙に綴ったのだろう。だから私に直接メッセージを届けるのではなくエージェンシー経由で謎の手紙を出したってわけだ。被害と言われても私にとっては身の覚えのない言いがかり。

(※)フードアローワンスは月額で渡す約束にしていたため初日に初月分を日割りで渡したのだが、理解せずになぜか減額されたと思ってしまったようだ。

エージェンシーから送られてきた実際の手紙

ただその時の私にそんな悠長な分析をする暇はなかった。とにかく怒り心頭の私はエージェントに「どういうこと?」「なんで?」「彼女はなんて言ってるの?」「どうすればいいの!」と責め立て、状況を把握するためにがむしゃらになっていた。彼女の身勝手のせいで楽しみにしていた旅行を中断して帰れるわけもない!帰国まであと3日。でもその3日間自宅にそんな無責任な他人を置いていられない。とは言え彼女は我が家の鍵も持っているし彼女の荷物も我が家にある。

藁をも掴む思いで同じコンドに住む親しい友人に頼んでみた。これまでも些細なことから重ためのお悩みに至るまで、ヘルパーさん周りのことに限らずいろいろな人生の局面であれこれ相談していた間柄だった。

「もしもしごめん、今、大丈夫?ごめんね突然」「うん、私?うん、元気元気!そう、今プーケットなんだけどね…実は…」

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