• 特別インタビュー
  • ヘルパーさんに関わる様々な方にお話をお伺い致しました。いつもと違った視点からヘルパーさんについて考えてみましょう。

コロナ禍におけるシンガポール外国人労働者の現状  -隔離生活を送る彼らの今-

 シンガポールでは新型コロナウイルス(Covid-19)が ”ワーカー”と呼ばれる外国人労働者のドミトリー(寮)を中心に感染拡大していましたが、現在は徐々に減少しています。しかしながらまだ一定数の感染者が確認されており、支援が必要な状況が続いています。
 &Hは前回に引き続き、外国人労働者の現状と必要な支援についてヘルパーを含む低賃金で働く外国人労働者の支援や擁護を行っているNGO団体”TWC2″と”HOME”で活動している日本人女性、ミズエさんにお話を伺いました。
 2020年4月に実施した前回のインタビューはこちら

※インタビューは2020年6月30日に実施しました。情報は実施日時点のものです。

Q. 以前と比較すると感染者数は減少したものの未だ1日に100人以上の外国人労働者の感染者が確認されています。検査や医療は行き届いているのでしょうか。

 一時期、1日に400人から1,000人ほどの感染者が確認されていました。当時は新型コロナウイルス感染による症状がある人を中心に検査を行っていましたが、現在は感染者数が減少してきたことにより検査体制に余力ができ、症状はないけれども感染している可能性が高い人に検査を行った結果の感染者数が報告されていると聞いています。感染者がゼロになるまでにはまだ時間を要すると思いますが、減少傾向にあることが救いです。

Q. 感染が確認された方たちはどのような場所に滞在しているのでしょうか。

 感染が確認された外国人労働者はまず病院へ行きます。人によってその後の滞在場所は様々ですが、”コミュニティ・アイソレーション・ファシリティ”と呼ばれる隔離施設に移動します。例えばチャンギ・エキシビション・センターやチャンギ・エキスポに設けられた隔離施設がそれに該当します。ご存知の通り、ここはイベントなどの会場になる場所なので、広いオープンスペースがあります。そのスペースがいくつかに間仕切りされ、一つのスペースに10人ほどが滞在しています。単純に間仕切りされているだけなので、ドアはありません。ここに滞在している人は全員感染が確認された人(陽性患者)たちです。
 感染後に回復した人たちの中にはクルーズシップ(客船)に滞在する人もいます。2人1部屋で、窓がある部屋もある一方、窓がない部屋に滞在する外国人労働者たちもいます。1日45分間だけデッキに出ることが許可されていると聞いています。

https://www.straitstimes.com/singapore/floating-hotel-awash-with-support-for-migrant-workersより

 政府に指定されたホテルに滞在する人もいます。ホテルでは洗濯をしてくれるランドリーサービスがあるところもあれば、ランドリーサービスがないため自分の部屋で手洗いをしている人もいます。
 また最近の動きですが、タンジョンパガーに”Setia Station”と呼ばれる施設が新設されたようです。ここに滞在している外国人労働者の話によると6人部屋に2人で過ごしているそうで、このような施設はこれから増えていく可能性があります。どの施設であっても滞在費用は政府が負担し、食事は無料で支給され、政府と連絡を取るためにもWi-Fiが使えるよう整備されています。 
クルーズシップやホテルと聞くと華やかな印象があり、彼らが暮らすドミトリーよりも良い環境に思えます。実は私も少しそう思っていました。しかし実際は、いつこの船から出られるのか分からない、という状況が彼らの精神的負担になり、滞在している彼らからは「辛い」という声が聞こえてきています。胃炎になって薬を飲んでいるという方もいます。1ヶ月以上もクルーズシップで過ごすある外国人労働者から「いつ出られるの?」というメッセージを受け取ったこともありました。
 受け入れ先のドミトリーの環境が整っていないなどの理由から、彼らの滞在期間は明確に決まっておらず、また定期的に検査が行われている様子も見られないため新型コロナウイルス感染から回復したかどうかもわからず終わりが見えない生活を送っています。

クルーズシップでの生活で苦悩する外国人労働者からのメッセージ

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