• さよならヘルパーさん
  • 出会いもあれば別れもある。 あなたはどんな時に解雇を考えますか? 契約満了・ヘルパーさんが突然帰りたいと言い出した・重要なハウスルールを破った… このコーナーではさまざまな別れのドラマをご紹介します。

さよならヘルパーさん CASE 3【前半】

出会いもあれば別れもある。
あなたはどんな時に解雇を考えますか?
契約満了・ヘルパー(メイド)さんが突然帰りたいと言い出した・重要なハウスルールを破った…
このコーナーではさまざまな別れのドラマをご紹介します。

CASE3【前半】フィリピン人ヘルパー(メイド)さん 雇用期間:9か月

トランスファーヘルパーを探す際に中小規模サイズのエージェンシーに訪れると、まず目にするのが外の廊下や詰所でお喋りしながら面接のチャンスを待っているたくさんのヘルパーさん。彼女たちを横目に数十人分のバイオデータ(ヘルパーさんの雇用履歴を含む個人プロフィールがまとまっている履歴書のようなもの)に目を通し、気になるヘルパーさんがいれば小部屋で面接する、という流れが一般的だろう。

ところが今日、私が訪れたのは小さなエージェンシー。扉も閉まっている上に立派な看板もロゴもない。薄暗い廊下から中の様子が全くわからない。一瞬入るのを躊躇う雰囲気すらある。だがなんとここはこだわりが強く、ヘルパーさん雇用についてはズバ抜けた経験値を誇る友人が太鼓判を押すエージェンシーだ。思い切って扉を開けてみると最初に目に飛び込んできたのは背中の丸いおばあちゃんみたいな小さなヘルパーさんがぽつんとベンチに腰掛けている姿だった。その向かいに目をやると友人が紹介してくれたエージェントがニコニコ。バリバリのシングリッシュが小気味よい、テキパキとした可愛らしい女性だ。彼女が見せてくれたバイオデータはその入り口に座っている小さなヘルパーさんを含む、なんと2人分のみ。これまでエージェンシー毎に十人単位で面接をこなしていた私は不安に思ったが、「少数精鋭」という言葉があるじゃないか!選ばれし者に違いない!と心新たにバイオデータに目を通した。

私の条件は既婚者で子持ち、落ち着いた熟年女性。渡されたバイオデータには「27歳」「未婚」「子どもなし」の文字。ふむふむ、はい、つぎーっと思って目を離した瞬間エージェントが彼女の強みを説明してくれた。というか待って、彼女27歳なの!?おばあちゃんかと思ったよ!

そのエージェントが言うには彼女の根性は特筆すべきで、過去の雇用主はいずれもインド人。インド人の中でも敬虔なヒンドゥー教徒でガチのヴィーガン。食べ物へのこだわりも凄まじく、ヘルパーが休日に食べるものまでコントロールするとか、生理中はキッチン立入禁止とか、毎朝4時に起きて粉からロティ・プラタを焼くのが朝の日課だとか…、聞けば聞くほど厳しい環境で頑張ってきたことが窺える。さらに彼女はホテル・レストランサービスの専門大学を出ており、料理も好きで、インド料理も毎日作っていたので得意だという。赤ちゃんのお世話経験もあるし、子どもも好き。そして何よりもおばあちゃんと見紛うほどのこの成熟した感じ!これまで見てきたヘルパーさんからかけ離れているのは確かだった。

友人が太鼓判を押すエージェントが太鼓判を押している、この人にかけてみよう!そう思って私は彼女と契約することに決めた。

ところが現実は厳しいものだった。新しいヘルパーさんが来て百人力!のはずが、実際は毎日が戦のようだった。

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