
さよならヘルパーさん CASE 3【後半】
あなたはどんな時に解雇を考えますか?
契約満了・ヘルパー(メイド)さんが突然帰りたいと言い出した・重要なハウスルールを破った…
このコーナーではさまざまな別れのドラマをご紹介します。
CASE3【後半】フィリピン人ヘルパー(メイド)さん 雇用期間:9か月
【前半はこちら】
近所でデング熱が発生していることを受け、今後バルコニーの窓を開ける際には蚊取り線香を外のバルコニーに置いて欲しいと依頼したにも関わらず、なぜか彼女はリビングのど真ん中に火がついている蚊取り線香を置いた。憤怒した私はまた例の如く彼女に「なんてことするの?!うちにはまだ2歳になったばかりの幼児がいるの!こんな火の元を部屋のど真ん中に置くってどういう神経してるの?火だよ!!危ないって思わないの?火事になったらどうするの?例えばこうやって躓いたら危ないよね、バルコニーに置いてって言ったでしょう?なんで話聞いてないの!?」と怒涛の勢いで注意した。
そこへ、いつもなら口を挟まない夫がやってきてひとこと、こう言った。
「ちょっと、こっち来てくれる?」
え?どういうこと?彼女にひとこと言ってくれるのかと思ったら私に話があるっていうの?どういうこと?と困惑しながら主寝室へ行くと…
「もう、やめてくれる?」
え、どういうこと?いつも口数が少なく無駄口をたたかない寡黙な夫がどのような意図でそんな無責任なことを言ってるのか理解に苦しんだ私は、すかさず「どういうこと?」と質問責め。
夫「だから、もうやめてって言ってるの」
私「は?蚊取り線香をすごいところに置いたんだよ、注意しないと!」
夫「何度言ってもわからない人に何を言っても無駄でしょう」
私「じゃ、どうしろっていうの?解雇しろってこと?」
夫「うん」
私「そんな簡単に言わないでよ、これまでの私の我慢や努力や彼女に投資してきた時間やお金はどうなるの?」
夫「こんな生活、こっちが耐えられないんだよ!子どもたちにとっても数時間おきにガミガミ言ってる母親の姿を見てるわけだし、どう考えても健康的な環境とは言い難いでしょう」
私「…」
夫「もう辞めてもらってくれる?」
私「…」
私「でも明日から彼女は休暇でフィリピンに帰るんだよ、今解雇したらどうなるのかわからないからエージェントに聞いてみないと…それにエージェンシーのリプレイスメント期間の6ヶ月を2ヶ月過ぎちゃってるからリプレイスできないんだよね。お金もったいなくない?私的にはもうちょっと…」
夫「今すぐエージェントに連絡して」
私「う、うん。わかった…」
今思い返せば、私の気持ちはかなり複雑だった。彼女は悪い人間じゃない、ただちょっと覚えが悪く、常識が通じないし手が掛かるけどあともう少し頑張ればなんとか形になるんじゃないか。盗みを働いたり、嘘をついたり、男性問題や借金問題が起きそうにない朴訥とした彼女の生活態度やシンプルなキャラクターは昨今絶滅危惧種でとても珍しいし、それだけ考えるとお料理などは避け、基礎的なお掃除だけをお願いするのであればうまく付き合っていけると思う。もう少し彼女と共に頑張ってみたい!と思う気持ち。一方で、経験豊富な友人たちは口を揃えて私に何度となく助言してくれていた:
あれ?っと思うならさっさとリプレイスした方が良いよ!リプレイスしたら「あー、なんでもっと早く動かなかったんだろう」って後悔するよ、絶対!
という言葉が表すように、ダメなものはどうやってもダメなんだから潔く次へ行こう!というある意味前向きな気持ち。それとは逆にまた面接するのも面倒だしいい人と出会えるとも限らないという不安な気持ちが入り混じっていた。
エージェントと解雇の話をしたところ、リプレイスできる人材は今はいないとのこと。とはいえ解雇するときは次の人材を見つけてから解雇すべきだと言う。彼女の「解雇するなら言ってね!」という柔軟な姿勢もありがたかった。なにしろこのエージェントは先述のとおり、ズバ抜けた経験値を誇る友人が太鼓判を押すエージェントでこれまでも私が彼女の対応で手を焼くたびに途方もない愚痴を聞いてもらったり助言を仰いでいだりしていた。
とても勉強になる助言をいくつかもらったので、またの機会に皆さんにシェアしようと思う。
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