• さよならヘルパーさん
  • 出会いもあれば別れもある。 あなたはどんな時に解雇を考えますか? 契約満了・ヘルパーさんが突然帰りたいと言い出した・重要なハウスルールを破った… このコーナーではさまざまな別れのドラマをご紹介します。

さよならヘルパーさん CASE 4-3

出会いもあれば別れもある。
あなたはどんな時に解雇を考えますか?
契約満了・ヘルパー(メイド)さんが突然帰りたいと言い出した・重要なハウスルールを破った…
このコーナーではさまざまな別れのドラマをご紹介します。

フィリピン人ヘルパー(メイド)さん 雇用期間:2年

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サンタからの巨大なクリスマスプレゼントはスーツケースだった。彼女は期待通りのリアクションで応えてくれた。
いよいよ来月には帰国をしてしまう彼女。寂しくはあるが残される我々を待っているのはいつもと変わらない日常。子どもたちはそんな事情に関係なくお腹を空かせ、部屋も散らかす。彼女が去った後、我が家にやってくる2代目ヘルパーは彼女の妹。既に手続きを済ませ、私の元に来る準備を着々と進めている。時間だけはどんどん過ぎていった。

2年で契約満了であったが、彼女は息子の卒業式に出席するために少し予定を早めて帰国することになっていた。彼女のワクワクする気持ちが手に取るようにわかったので、私は彼女のリクエストを喜んで受け入れた。

年も明け、本格的に彼女の帰国準備も佳境に入ってきたころ、日本から突然の父の急逝を知らせる連絡が入った。まさかの訃報に普段は滅多に取り乱すことのない私もさすがに普段の日常を送ることはできなかった。

日本への帰国の準備に加えてまだ幼い2人の子どもの世話。悲しみを紛らわせる為に用意されたのかと思うほどやるべきことが押し寄せてきた。彼女が帰国を楽しみにしているのは十分に承知していたが、日本に帰国してもやるべきことは山ほどあり、いつシンガポールに戻ってこれるのかもわからなかった。そんな私の本心は”彼女に一緒に日本についてきてほしい”だった。

身体的にも精神的にも独りでこなす自信を失っていた私は、相当悩んだ結果、彼女に帯同してくれないかと頼んだ。
あんなに楽しみにしていた息子さんの卒業式が目前に迫っているにもかかわらず彼女は「マムには私がついていなくちゃ」と一緒に日本に行くことを快諾してくれた。

彼女はシンガポールにいるときと同様、何が起きたのかまだ理解できない2人の幼い息子たちの世話をテキパキとこなしてくれた。これまでも日本に帰国する度に一緒に帯同してくれた彼女はもちろん父も母のこともよく知っている。葬儀にも参列してくれるというので私は彼女のために喪服をレンタルした。おかげで私は葬儀の間も安心して彼女に子どもたちを任せることができた。

彼女との間には雇用関係を超えた絆があると思っている。「旅費は出すからフィリピンに帰国した後もよかったら息子さんを連れて遊びにおいでよ。うちに泊まりにおいで」と約束した。彼女が帰国してもそれは今生の別れではなく、またいつでも会えるしね、といった感じであった。

彼女が帰国する日、早朝のフライトだったが彼女のことが大好きだった次男は気配を感じたのか起こしてもないのに一人で起きてきた。子ども心に彼女とのお別れを感じ取っていたのだろう。そんな次男の姿を見て次のヘルパーさんになついてくれるのだろうかと少し心配になった。

2年間、彼女がいてくれたおかげで子どもとの生活がとても充実したものとなった。父の件もあり、彼女には感謝の気持ちでいっぱいだ。

フィリピンに帰ってしまってからは連絡を取り合っていないが、元気に楽しくやっていることを心から願う。

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