
実録!シンガポール再入国時の隔離措置 / SHN(Stay Home Notice)の実態 (前半)
経験した人の少ない政府指定施設でのSHN。
ホテルの様子は?ご飯は?幼い子どもを連れた家族でのSHNはどうなるの?
2020年9月初旬に6歳と3歳の二人の幼児を連れて一時帰国からシンガポールに戻ってきたEPホルダーであるYさんがSHN前に疑問に思っていたことを「&H」に赤裸々に語ってくださったお話をYさん目線でまとめました。ぜひお役立てください。
日本でのPCR検査とシンガポールでのSwab Testの違いやSHN中のホテルでの様子。そんな中で子どもが大怪我!一歩も外には出さないぞ!という固い意志を前面に出してくるホテルから病院には行けるのか?ヘルパー(住み込みのメイド・お手伝いさん)をホテルに呼び寄せることは可能なのか?実録です。
私が日本に一時帰国をしたのは6月末。シンガポール国内はCircuit Breaker(CB)が明けて少し経った頃だった。
日本についてからの14日間の自宅待機もシンガポールに戻って来てからのStay Home Notice (SHN) が必要なことも知っており、男の子2人を連れてのSHNは大変だろうな…、とある程度覚悟はしていたものの、一方では2か月後、シンガポールに戻ってくる頃には恐らくこの騒動も下火になり、SHNも緩和されているのではないだろうかという淡い期待も抱いていた。しかしそこはさすがのシンガポール。私の考えは甘かったようだ…
日本への一時帰国
関西国際空港に着いた我々を待ち受けていたのは早速のPCR検査。インフルエンザの時に使う綿棒のような細長い棒よりも細い目の棒を鼻の奥の方まで差し込まれキュッキュと粘膜を取られる。所要時間は左右どちらかの片鼻だけ、2秒ほど。インフルエンザよりも念入りに奥まで突っ込まれたような気がしたのは気のせいなのか。
6歳の長男と3歳の次男も大人と同様に検査を受けた。子どもは動かないように親が羽交い絞めにして受けなければならず、ほとんどの子どもは泣いてしまう。そんな嫌がる子どもたちを見るのは心が痛む。二度目はありませんように、と願いながら泣き叫ぶ子どもを羽交い絞めにした。
検査結果は翌日に通知された。思ったよりも早く出た結果にホッとした我々は、14日間の自宅待機期間も楽な気持ちで過ごすことができた。
14日間は毎日電話がかかってくる。
自動音声で「熱ハアリマスカ?」「体調ハ悪クナイデスカ?」そんな内容だった。そして、機械は私に「デキルダケ出歩カナイデクダサイ」とお願いしていた。
どこまでいっても日本はお願いベースなんだな、と流れる音声を聞きながら改めて思った。
14日間の自宅待機を終えた我々は日本で普通に過ごした。
余談になるのだが、子どもたちは日本の幼稚園に入れてもらい、日本の文化や日本語を学んでいた。シンガポールで育った彼らは幼稚園や今までのヘルパーさんとの会話が英語のため、どちらかと言えば英語での生活がメインだったが、2か月の日本滞在の間に彼らの頭の中はすっかり逆転し、「No!」などの簡単な単語すら出てこなくなってしまった。そして、おばあちゃまが話す方言をそのまま話すようになった。シンガポールにいたときと同じように英語を話す私を見て、彼らは不思議そうに「ママは英語忘れないんだね」と言っていたのが印象的だった。
楽しい日本での日々を送りながらも、頭の片隅にはシンガポールに帰国するときのことが離れず、帰国の日が近づくにつれその割合はどんどん大きくなっていった。
シンガポールに帰国する
帰国の申請
シンガポールに帰国することを決めたらまずするべきことは帰国の申請である。申請は帰国希望日の1か月前からできるようになっている。
これは家族単位ではなく個人単位で申請を行う。私の場合、私と息子2人の申請をそれぞれ行い、3人とも許可が下りたのだが、個人単位なので家族内でも許可が下りる人と下りない人がいることもあり得るようだ。万が一そんなことが起こったら大変なことだ。家族で一緒にシンガポールに到着したいと思うなら日程が合うまで申請をし続けることになるのだろう。その辺りは考慮してくれそうなものだが、そこはシンガポールのことなので何とも言えない。
無事に申請が通ったら次は飛行機のチケット購入である。
この飛行機のチケット購入がなかなかやっかいなのだ。なぜなら、申請が通ったら帰国希望日の前後を含めて3日しかシンガポールへの入国が許可されないのだ。
これまで日本ーシンガポール間は相当な数の飛行機が飛んでいたのだが、現在このコロナ禍においては「あの航空会社は週に3回、あの航空会社は週に2回」といった感じで大手の航空会社全てを合わせても1日1便ほどしか出ていない。
許可された日に合わせて飛んでいる飛行機のチケットを取るのも一苦労なのだが、このご時世、突然航空会社の都合で飛ばなくなることも多々ある。1週間ほど前になって「減便します」と当該飛行機が飛ばなくなることもある。そうなると一からやり直しである。私も実際2度も欠航に当たってしまいチケットを取り直したが、期限が決まっているので気持ちが焦る上に相当な手間である。もうこりごりだ。
シンガポールに帰国
飛行機内の様子
シンガポールに帰る飛行機は未だかつてないほどの空席が見られた。超快適である。ビジネスクラスには8名、エコノミークラスには13名。客室乗務員の数も通常よりは少ないように思ったが、乗客に対する人数を考えると相当手厚く感じた。
シンガポールに帰る乗客と乗り継ぎの乗客が乗り合わせているのだが、シンガポールに到着した時は密を防ぐためなのか、乗り継ぎの乗客は後から降りるように指示されていた。
降りてからの様子 滞在先のホテルはどこ?
飛行機を降りると当然のようにチャンギ空港は見たこともないぐらいの人の少なさであった。いつもはシンガポールに降り立った乗客を出迎える人々でごった返すターミナルも人影はまばら。
飛行機から降りた乗客は通る場所も決められている。決められたルートを通り、係員に名前を告げ、指定されたバスに乗せられるのだ。
この時点でまだ我々は自分がどのホテルに滞在するのかを知らされていない。どうやら現地に着くまで教えてもらえないようだ。
貼られたシールで色分けされた帰国者は、15人乗りほどのバスに乗せられ目的地のホテルに連行される。実際にバスに乗ったのは7名ほど。バスの中には監視カメラが3つほど設置されていた。
恐らく脱走しないように見張っているのだろう。
ホテルに到着 ホテルのルール、サービス
ホテルに着くとソーシャルディスタンスを取った座席が配置されており、そこでスタッフからSHN中のルールやホテルの利用の仕方、サービスなどの説明を受けた。
・14日間、部屋から一歩も出ることは許されない
・部屋の中で料理をすることはできない
・アレルギーや食事規制(宗教上の理由で食べられないもの、ベジタリアンかどうかなど)の確認
・洗濯は初めの5枚までは15ドル、5枚を超えると1枚あたり3ドルを追加で請求される
・自宅からなにかを届けてもらうことは可能。デリバリーも可能
・対象者がホテルから何かを送る、もしくは持って帰ってもらうことは不可能
・10日目にSwab Test(日本でいうPCR検査)を行うのでその詳細について9日目に案内がある
だいたいこんな内容だったと思う。
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