
論評:FDW*雇用がこんなに大変なのはおかしい(by CDE) Commentary: It should not be this hard to hire a foreign domestic worker
Centre for Domestic Employees(以下CDE)のエグゼクティブ・ディレクター、Shamsul Kamar氏によれば、COVID-19により、シンガポール国民によるFDW雇用が困難になっているが、政策の微調整や新たな取り組みによって解決へ導けるという。
COVID-19の感染拡大を封じ込めるために国境が封鎖されたことで、出稼ぎ先の国々に留まるしかなく、家族と離れ離れになってしまった労働者への影響が注目されてきた。しかし、実際は国境封鎖によって影響を受けているグループは2つある。シンガポールで働くつもりが自国を離れることができないForeign Domestic Workers(以下FDW)と、彼らを雇いたいと考えている雇用主とその家族である。
渡航規制の影響でFDWの受け入れが鈍化していることから、受入国からの新規FDWの雇用までにかかるコストも上昇している。さらに、シンガポールに入国した際に課せられるSHN(Stay-Home Notice)にかかる費用を雇用主が負担しなければならない。
世界的な感染拡大が始まって以来、シンガポールに入国するFDWの数が減少しているため、介護や家事支援を必要とする家庭では、既にシンガポールにいるトランスファーFDWを採用する傾向が強まっている。
感染が広まる前はトランスファーFDWの数は比較的多かったが、シンガポールでの就労経験がない新人FDWを好んで雇用する雇用主の方が多かった。ところが最近の報道によると、トランスファーFDW数の変化に伴い、トランスファーFDW1人あたり20人の潜在的な雇用主がいると考えられている。
このようなトランスファーFDWの需要増加に対応するため、MOMは2020年5月にEmployment Agency Licence Conditions(以下EALC)の改定を発表。既存雇用主から新しい雇用主へのFDWのトランスファーをより容易にするために、エージェンシーがトランスファー手続き中のヘルパーのロッジ宿泊費用を援助するようEALCを改定した。
今回のEALCの改定により、トランスファー期間中に雇用主が負担しなければならない経済的負担や責任が軽減され、トランスファー手続きが容易になる。
しかし、トランスファーFDWが次の雇用主の元へとトランスファーするために必要な要件は依然として雇用主次第といえる。つまり雇用主がFDWを解雇する際に、トランスファーの機会を与えず、本国に送還する可能性があるのだ。
このような状況においてトランスファーの成功を左右する要因の一つとして、手続き中の金銭的責任と、トランスファーが成立しなかった場合の損失を負担する意思のあるエージェンシーが存在するかどうかという問題がある。
トランスファー期間中にトランスファーできなかった場合、エージェンシーが本国への送還費用を負担しなければならない。一方で雇用主とFDWにとってそれを容易にする方法があるという。
トランスファー期間を延長する
一般的に新しい雇用主を探すことは、FDWやエージェンシーにとって簡単なことではない。場合によっては、現在規定されている14日間のトランスファー期間よりも長くかかることもあり、努力の甲斐なく、FDWが本国に送還されてしまうこともある。
現在、この新しいトランスファースキームはオプトイン方式で、すべてのエージェンシーがトランスファーの際にかかる費用の一部を負担できるとは限らない。とはいえ、MOMによれば、約500社にも上るシンガポールのエージェンシーが、FDWのトランスファーを容易にしたいと考えており、そのための援助への関心を示していることが明らかになっている。
雇用主は、FDWをこのトランスファースキームに参加しているエージェンシーに引き渡すことができるが、必ずしも当初FDWが雇用された際に利用したエージェンシーではないケースがある。新しいエージェンシーは、FDWのスキル、能力、仕事の適性を評価し、14 日以内に FDWを無事にトランスファーさせることができるかどうかを判断しなければならない。
14日以内にFDWを無事にトランスファーできなかった場合、エージェンシーはFDWを母国に送還しなければならず、さらにその費用も負担しなければならない。それにより、より迅速にFDWをトランスファーさせるためにエージェンシーが無理をする可能性が出てくる。つまりFDWと新しい雇用主のミスマッチであったり、将来の潜在的な問題をもたらすなど、大きなリスクに発展する可能性があるのだ。
FDWの求職活動を成功させるためには、トランスファー期間を長くすることが必要で、現在規定されている14日間のトランスファー期間をさらに2週間延長することも可能だ。
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